世界最高のヨガ指導者であり、現在練習されているハタヨガのほとんどがアイアンガー師の影響を受けている。
1918年南インドのベルーア村生まれ。クリシュナマチャリア師の下で15歳からヨガを始める。18歳よりヨガの指導を始め、たゆまぬヨガの修練と研究により次第にインド各地にその評判が広まる。1950年代よりその名声はアメリカおよびヨーロッパにも及び、世界各地からヨガの指導やデモンストレーションに招かれるようになったことで、世界中の人々がヨガとの出会いを果たす。1966年、師の著した"Light on Yoga"(邦題:「ハタヨガの真髄」)は世界的な大ベストセラーとなり、これを機に世界中でヨガブームが起こる。"Light on Yoga"はヨガのバイブルとして現在でも多くのヨガ練習生によって読まれ、ヨガのスタイルを問わず練習や指導の参考書として用いられている。1975年、師はインド・プーナにRamamani Iyengar Memorial Yoga Institute (RIMYI)を設立。以後、現在に至るまで世界中からヨガの指導者が研鑽に訪れている。2014年に没する直前までヨガの修練と研究を続けたアイアンガー師は、いまなお世界中のヨガ練習生たちに多大な影響を与え続けており、米誌『TIME』の「世界で最も影響のある100人」にも選ばれ、オックスフォード辞書には"Iyengar"という名詞が定義されている。また、2014年にはインド政府からヨガ指導者としては初めて最高位から二番目にあたる勲位パッドゥマ・ヴィブ―シャンの叙勲を受けている。
アイアンガー師は長年のヨガの実践と研究に基づき、現代に生きるすべての人が伝統的なハタヨガを効果的に学べるメソッドを体系化。師が考案したヨガマットやヨガベルト、ブロックなど数々のプロップスと呼ばれる補助道具の使用や解剖学観点によるアライメントという概念の導入と共にそのメソッドはアイアンガーヨガと呼ばれている。また、師はヨガの治癒的効果を体系化し、その研究は医学会から大きな支持と注目を集めている。
2017年6月21日、インド政府はRIMYIをヨガの普及と発展への優れた貢献者に贈られる首相賞(Prime Minister's Award for outstanding contribution for promotion and development of Yoga)の初代受賞者に選出した。これによりB.K.S.アイアンガー師およびアイアンガーヨガの世界中での影響力と貢献が改めて認知された。
芸術とまで言われるアイアンガー師のアサナ(ポーズ)のデモンストレーションや指導の様子など貴重な映像の数々をご紹介します。
アイアンガーヨガは、古代より師から弟子へと受け継がれてきた聖人パタンジャリによるヨガの8段階(アシュタンガヨガ)を現代人に伝えるため、Yogacharya B.K.S.アイアンガー師によって考案されたヨガのメソッド。アライメント(正しい身体のつながり)、プロップス(補助道具)、シークエンス(目的に応じた論理的なポーズの組み立て方)をその特徴としています。
アイアンガーヨガは、解剖学、心理学等による身体と心の科学的な分析に基づき、いかなる年齢の、いかなる状態の人々にも、より効果的に無理なく実践できるヨガです。
アイアンガーヨガを行なうことにより、自分の身体を知り、正しく伸ばして鍛えていくことで、自分の身体や心をコントロールする力が身についていきます。ヨガは自分自身に出会い、自分自身を磨き、自分自身を教育する『自己教育』とも言えます。
アイアンガーヨガは、アメリカやヨーロッパをはじめ世界で最も練習されているヨガのスタイルであり、全世界で数百万人の人が練習に励んでいます。また、医療や学校教育、スポーツなどの現場でも積極的に取り入れられ、ストレス社会を生きる現代人にとっての処方箋として広く認知されています。